語彙力を増やすためにライターの僕がやってること

早寝、早起き、朝ごはん!!!ぜんぶやってません!!!

お世話様です。続かない人間の川合です。本は読まずにすぐ積むし、煙草はひとつもやめられない。ジョギングも年に1回、天気の良い日にちょっとだけ。料理も週に2回もやればいい方で、確定申告はこまめにやっておけばよかったと懺悔するばかり。そういえば今朝もお昼に起きたので、ゴミ捨てはできていません。

とにかく何をやらせても続かない人間の僕ですが、大学を卒業してからずっと専業でライターを続けており、今年で5年目になります。自分にしてはよくやっている方だと思います。職場や掲載媒体などはちょろちょろと変わっているもの「書く」それそのものからは離れていません。

本日はそんな僕が、ライターや編集者として「言葉」にまつわるルーティーンを簡単にいくつか紹介していきます。これから日本語をもっと磨きたい、なんなら仕事にしたいという人の参考になればと思います。

川合裕之 著者プロフィール
1995年生。餃子と蛙が好きなフリーランスライター。映画批評のwebマガジン「フラスコ飯店」の編集長をつとめるほか、ECサイト運営やスタートアップ企業の広報担当などのカタギの仕事もちゃっかりやっている。

辞書を引くために……

日本語だろうと英語だろうと、エチオピア語でもアゼルバイジャン語でも、物書きに必須なのは辞書という存在。これが無いと話になりません。

ちょっと待って、そんな火災報知器が鳴ったけど誤報だったときみたいな顔をしないでくださいよ。あまりに真正面からの綺麗事すぎて落胆していますでしょうか。

しかしそれでも無骨な道こそが近道かつ王道。 スマホの一番目立つところに辞書アプリをいくつか入れておく、というのがまず最初に紹介したい僕のライターとしての習慣です。 ライターは基本的に孤独(そんなことはないです、僕が孤立しているだけです)な職業なので同業者はどうしているか存じませんが、結構やっている人は多いのではないでしょうか。

iPhoneの辞書アプリの画像筆者のiPhone の中身。ちなみに、左下の「キクタン」は大学のときに入れて以来1度もやっていない。

信頼できる出版社の辞書のスマホアプリ版が出ているので、これを入れておく。値段は2000円とか3000円程度です。ちなみに広辞苑は1万円します。アプリの中ではかなり高いので腰が引けますが、辞書の値段としてはそれ相応なのでそれは諦めてください。

息するように辞書を引く

辞書アプリ一覧
筆者の1軍は「大辞林」「三省堂類語新辞典」「ウィズダム英和 / 和英」です。2軍に「LONGMAN」の英英辞典など。英語の辞書はいろんな場面でかなり役に立ちます。また機会があればこれについても書いていきます

紙と違って軽いんですよ! とか言い出すと電子辞書の冴えない訪問販売みたいでいよいよ愛想が付かされそうですが、スマホは災害が起きたって手放さない必需品ですよね。トイレに持っていくという人も少なくないでしょう。だからこそいつでも辞書を引くことができると思います。研究者の方などはもっと専門的な機能のある辞書が必要なのでスマホでは足りなかったりするのかもしれませんが、ちょっとそれは許して欲しい。

ネットで見た知らない言葉、本の中で気になった表現、テレビで耳にした「それ本当に用法あってるのかよ」という慣用句――。そうした言葉を余すことなく参照することができると思います。

ガッシュの清麻呂とかムヒョみたいに(知らない人はググって!ごめんこれは辞書には載ってない)ずっと分厚い本を携えている、というのは見た目は格好良いですけれど、1日で筋肉痛になります。多分。紙の辞書は習慣になりさえすれば便利ですが、習慣になりづらいかもしれません。僕はそうでした。一方でスマホの辞書はすぐに馴染む。幸か不幸かスマホそれ自体がすでに習慣化してしまっているものなので、日常に溶け込ませるハードルは低いのです。僕がそうでした。

紙の辞書が消耗品となってしまうならまだマシです。試供品や芸術品になってしまうのだけは避けたい。辞書は必需品とまで書くと大袈裟かもしれませんが、しかし日用品にしてなんぼだと思いませんか。

紙の辞書紙の辞書、強いてライター目線で勧めるなら学研のこのシリーズがオススメです。けっこうよく出来てる。持ち運びがしやすいのも嬉しいです。スマホで辞書の習慣が付いたら今度は多種多様な紙辞書を買ってみても良いかもしれません

「時間が空いたら辞書を触ってみましょう」とは言いません。そもそも暇なときに辞書を引いているような変態はすでに複数の紙辞書を所有しているかと存じます。

ただ、なにか言葉に躓いたとき、企画に煮詰まったときに辞書に助けてもらう習慣が、もっと広まって欲しいなと思います。

ちなみにいましがたの「煮詰まる」は厳密には誤用。「結論が出せる状態に近づく」というポジティブなイメージが正しい使い方。先の例で正しく言い換えるならば「行き詰まる」などでしょうか。こうした細かいチェックが、いつでもできるのがスマホの電子辞書の良いところ。

個人的には「帰ってから調べよう」で実際に調べたこと、一度もないですからね。

敢然と使った言葉が、あした自分の語彙になる

さて、ここからが実践編。といっても難しいことはありません。知らなかった言葉を無理してでも使う。これだけです。

これは読解のための受け身の語彙ではなく、執筆のために湧き出る能動語彙の増強トレーニング。筋トレだって己の限界を超えてはじめて成立するじゃないですか。それと一緒です。僕は筋トレしないからガリガリだけど。

いつか辞書で引いた言葉、本や映画、漫画を見て感心した例え話、漫才で聴いたワンフレーズを引用する――。何を調理するかは皆さんの自由。好き勝手に放縦してください。

スマホの辞書で検索串刺しで検索できたりもします。デスクの上が汚いのは許して欲しい

こうしたことを繰り返すうちに、会話の中で自ずと新しく脳に刻んだ言葉がこぼれる瞬間があったりします。その場では平然と話していますが、心の中では法悦境地。炊きたての白米の蒸気を鼻から吸い込んだような気持ちです。

早い話が「進研ゼミでやった問題だ!」の状態になるわけですが、こうして日々の努力を実感できる、というのはひとつの「習慣化」のキーかもしれませんね。モチベーションの維持になります。語学系にはすべて共通するかもしれません。映画を見ていて昨日おぼえた英単語が聴こえてくると嬉しい。

ちなみに、筆者の友人は調べた言葉のメモをメモ帳などではなく「Twitter の下書き」に入れているそうです。何かツイートしなきゃいけないけど何もネタが無いとき、語彙やフレーズから考えるそうです。こうすることで語彙力も後からついてくるのだとか。「何かツイートしなきゃいけないとき」ってなに!?と思いましたし、いまでも書きながら半分怒っていますが、語彙力を鍛えるという点で考えれば的を得た方法かもしれません。

嫌でも毎日さわる言葉

さて、本日は日本語を鍛えて、語彙力を高めるためのちょっとしたコツをお伝えしました。個人的な話ばかりになってしましたが、何かの参考になればと思います。

とはいえいくら母語でもある種の語学。一朝一夕にはいかないものですから怖めず臆せず伸ばしていこうと踏み出しづらいかもしれません。

いくら母語でも? そうか、母語なんだ。嫌でも毎日使わざるを得ない言葉です。僕たちの身体はすでに引っぱたいたら「いたっ!」と声が出るように設計されているのですから。そういう意味では、日本語とは無念無想に継続している営みのひとつかもしれません。もっと使えばもっと良くなる。きっと上達するはずです。 (了)